神聖な食卓はまわり
器の精たちが
水滴にくちづけした
のどを冷やす発泡酒と
燭台が伝えるゆらぎに
褐色の微風のはこぶ
仕切られた野生の嘆鳴も
アスファルトのうえで角質化するしかない
湿りの海
空白にも意味があるという
私のみえすいた憂鬱だ
茎のスープのうえを旋回する胞子
琴のワルツ
楽隊を歌わせた指揮者こそ忘れられない
宴のあと
遊泳と触感
立体迷宮
式部あわせ
極彩色にはよわいのです
騒宴をのがれて
壁面の冷気だけが抑えた
削げ落ちてゆく界隈の喧騒と
行き急ぐ人々のかすんでゆく水溶液
待たなくてはいけないと
熱にうなされもがく
病人にあたえられるリンゴ水
もしそれを失えば
悟るしかないだろう
すでに終わってしまっている
時代の不安などどうでもいい



乾きの海流(抜粋)
─ 詩集「ユリウス暦の農閑期に」より─
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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