Tへの手紙



もっと永い沈黙がほしい
もっと饒舌に沈黙している世界が見たい
私は少々しゃべり過ぎたから
嵐のあとの 
丘陵地をわたる風のような
永劫の流れを見つめて
「死よ、驕るなかれ」
そう書き残して逝った、詩人よ
古の詩句に託した、
あなたのシとは何だったか
「1999」という暦年の詩は
私のなかで 
ますます燃えさかり
2006年の私は
フレグモーネに
おざなりの氷嚢をあてがい
現世に横たわっている
書割の世界を見渡す 肉眼の
垂直に落下する
鳥の眼をもった詩人に
どんな手紙を書けばよいだろう
翼はいらない
愛という言葉はいらない
緩慢な怒りと
悲嘆に酔いしれ、
押しつぶされた言葉たちは目ざめよ
踏みしだかれ、
色褪せたその声で
ただ一歩、前に踏み出せばよい
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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