器との対話



お前は、何を思っているのだ?
何か言ってごらん
  何をさがしているの?
ないものだよ
  それじゃ、無理
無理じゃない
  ないものは、さがせない みつからない
つくればいいんだよ
(なるほどね、つくればいいのか)
  何を、つくるんですか?
器だよ
  器ですか
そう
あるもないも
人間が、勝手に考えたこと
たとえば水は、
あるとき蒸発して見えなくなるが
なくなるわけではない
人も、
何もないところから
生まれてきたわけではない
大海からこぼれるように
生まれ、
また、同じ場所にもどっていく
ただそれだけだ
水が循環するように、
天の海から
こぼれ
また、天に帰っていく、
ひとしずくの 
いのちというもの
すべてのものが、つながっている
息をしていて 
生きている
いま、ここで生まれ
生きはじめる、 
太古
その無量の闇と、
きらめき
それらは、ゆるやかなリズムを刻み
共有されながら、
永遠の時のなかで生きつづける
その息づかいは、いつも
触れることでしか、
感じとることができない
手で触れるように
こころで触れ、魂で触れることでしか、
知ることができない
知っている
ここに
ないはずのものが、ある、
ということを
わたしも、お前も
 
 
 
   (背景 - 中村錦平作「盃」)   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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